建築知識ビルダーズ34号

今号は、地域工務店のプレハブ化について、

前向きな記事がありました。

建築知識ビルダーズ34号 表紙

ある程度の工務店規模になれば、

現場でいちいち組み立てずに

自社工場を持ち、

構造、壁・床などをパネル化することで

現場での精度向上と工程短縮など

いろいろなメリットが期待できます。

 

ビルダーズp31の、欧州での木造プレハブ・パネル工法についての解説が解りやすいです。

建築知識ビルダーズ34号、木造プレハブ・パネル工法

 

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2015年秋に行ったドイツ・フライブルグの視察でも、

地元工務店がプレハブに取り組んでいるところを見学しました。

ドイツ・フライブルグの工務店・工場(こうば)

年間20数棟を手掛けている工務店。

 

設計部門もあり、

構造は自社オリジナルの構造、寸法ですが、

山~製材所と繋がっていて、

設計で決めた寸法の材料が届きます。

ドイツ・フライブルグの工務店で製作中のパネル

工法はツーバイフォー式で

材料寸法は間柱で3バイ8とか、柱は5バイ8くらいのサイズでした。

 

下はパネルに木質断熱ボード(60mm程度)を張り付けたもの。

構造の中にも断熱材が充填されていて、

軽く20センチは越えます。

(確か左側にももっと断熱材を足します。)

スケールを持っていかなかったので、手持ちのメモ帳で比較。

ドイツ・フライブルグの工務店で作られるパネルの厚さ

ウッドファイバー断熱材、日本でも安く手に入れば使いたい。

木の端材などをチップ状にして圧縮して、

環境、性能ともに とてもいい製品です。

ウチで採用しているFP工法の付加断熱にするなら、

これにしたいですね。

北海道で供給しているところがありますが、

ちょっと高価で、なかなか手が出ません。

 

フライブルグに話しを戻します。

パネルをクレーンでつるして移動していますが

やっぱり大きいですね。

日本の道路事情では、こんなに大きいのは運べません。

ドイツ・フライブルグの工務店で作られる壁のパネル

青ジャンパーの人が親方で大工のマイスター。

マイスターは、一級技能士的な大工資格だけでなく、

経営者であること、職人を育てること、

が資格と共に課せられています。

それがマイスターの条件だと聞いて、とても感激しました。

 

経営者でなくなれば、マイスターは剥奪、

ただの大工の有資格者です。

 

工場(こうば)では、

若手の大工さんが図面の通りに壁や屋根を組み立てていました。

ドイツ・フライブルグの工務店で若い大工がパネル組み立て

その図面。

専門用語で「通り図」と、出来上がりのパースも添えられています。

ドイツ・フライブルグの工務店のプレカット図面

図面右下のパースで、床になっているのが、

↓この材料。

ドイツ フライブルグの工務店、床の構造材

これを敷き詰めて、二階の床構造になります。

なので、木材の使用量は日本より、ものすごく多い。

それも近場の木を使い、

地域で経済を回すという基本理念があります。

 

地域で経済を回すのにエネルギー=電気もあり、

国外から原油を買うのではなく、

地域で エネルギーを作る、

エネルギーを作るには人手が必要、

つまり雇用も創出。

 

お金が外に出ず、

地域経済の良い循環ができているので、

見た目に活気がないようでも、

街は豊かで落ち着いていて、

とても住み良いのです。

 

山~建築~街~エネルギー~経済~環境・・・人

すべてが繋がっていて

感動しっぱなしだったのを思い出しました。

 

先進的なドイツの建築に対する省エネ性能、

というより先進的な省エネ「政策」は

学ぶべきところがたくさんありますが、

その循環の一つでしかないということ。

 

左が案内してくださった池田さん。

ドイツ在住で主に山と森林(&経済)を専門に

レクチャーや調査・研究をされています。

ドイツ フライブルグの大工マイスター

後ろの車のキツツキにも深い意味があり、

シュバルツ・バルト=黒い森とつながる、

そんなお話しも

とても面白かったですが、

それはまた別の機会に。

 

↓シュバルツバルトと美しい田園風景。

ドイツのシュバルツバルト=黒い森と田園風景

 

じゅん