伊礼智さん設計の住宅拝見

「住学(住まいの学校)」主催で、十日町市のフラワーホームさんの新築住宅を拝見。

社長さんが建築家・伊礼智さんに設計依頼されたご自宅を見学させていただきました。

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設計依頼の際の大まかな要望は

・吉村順三さんの吉村山荘が好き

・薪ストーブを設置

 

これを事前に聞いていたので、絶対見たい!と思っていたら、チャンス到来。

すぐに申し込みました。

 

まずは感じたことを。

通常やってしまいがちな、眼前の広大な田園風景をすべて見えるような窓にはしないこと。

ダイニングから一段下がったリビング、そのソファに座ったときの景色を大切にしていました。

吉村山荘のような窓辺

窓の大きさを絞ることで、窓辺でも周りの建物が見えず、常に景色とだけ向き合えます。

写真では狭苦しい景色に感じてしまうのですが、やはり実物では、窓から離れたり近づいたりしてみても、視線を気にすることなく風景を独り占めできるので、ずっとブラインドを開け放つことができます。

 

この手法は、街なかの住宅でも有効で、1日中 窓から外の景色を眺めることができますので、私自身もプランの上で心がけています。

それでも、窓の絞り方や位置は絶妙でした。

 

一段下がったリビングに薪ストーブのハーフムーン

 

大人二人、男の子三人のための住まいは、天井高を抑えてあるにもかかわらず、おおらかで、小住宅の依頼が多い伊礼さんにしては贅沢なプランでした。

田園風景に向かって配置された建物は、1階、2階、ロフトと上がっていくに従い、窓で切り取られた景色の印象が変わって、とてもワクワクします。

ロフトから田んぼ越しの木立

 

プランは吉村山荘とは違いますが、

外への視線(田んぼ越しの木立)の定め方、

そこからリビング~ダイニングの横への繋がり、

薪ストーブの煙突と吹き抜けを介して縦の繋がり、

など「山荘」的な一室空間。

アクセスしやすい 丸いダイニングテーブル

 

構造は雪国・十日町ということもあり、柱を1.5間=2,727mm=四畳半間隔で配置して、雪に耐える構造としています。

四畳半といっても柱の間隔だけなので、狭さは感じられず、かえって広がりを感じさせるテクニックがあり、とても勉強になりました。

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10年前に我が家を計画する際、敬愛する建築家・吉村順三さんの吉村山荘のような大らかな空間でありたいと思い、専門書を見たり、吉村順三さん設計の脇田山荘(軽井沢)を見学に行きました。

吉村さんの窓の採り方は、風景に向かって横長の窓を採用し、窓ガラスは全部引き込んでしまいます。

特に景色が良いときの二階リビングはダイナミックで、脇田山荘でも景色の中に浮かんでいるような感覚になりました。

吉村順三設計 脇田山荘 宙に浮いたようなリビング
何度行っても発見のある脇田山荘 2016年10月撮影

自宅でも二階リビングにしようと思ったほどでしたが、周囲の風景が住宅だけですので計画を取りやめたのを思い出しました。

もちろん、

そこで得た 景色の取り込み方、広がり、その感覚は忘れずに、その後の設計に活かしています。

 

じゅん